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野山を読む 野山を食す

ぶどう葉ずし

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長野県では知られた料理研究家、横山タカ子さんの著書「作って楽しむ四季ごはん」には、「信州の伝統すしを訪ねて」と題してぶどう葉ずし、なるものが載っています。乗鞍地域の郷土食で、7月15日に山の神に奉げられるものらしい。僕は信州の郷土食というものに興味がある方ですが、このぶどう葉ずしについてはこの本で初めて知りました。


ネットで調べると、乗鞍高原や白骨温泉で、宿泊客に期間限定で供されているようです。食べられるドライブインもあるらしい。
本場のものを食べてみたい。しかし乗鞍高原というと、我が家から車で片道2時間半以上。作り方は難しくなさそうなので、自分でやってみました。

ぶどう葉ずし

山葡萄の葉が大きくなる6月から紅葉前までの間、酢で〆た塩鱒とアツアツの酢飯を山葡萄の葉で巻いて作ります。
「アツアツの酢飯で」というところがミソで、これによって山葡萄の葉の香りが酢飯に移るそうです。
もう一つのポイントは、鮭ではなく「塩鱒で」。その方が断然美味しいというのが地元の方の共通の意見なのだとか。

山葡萄の葉、これは近くの高原で簡単に手に入ります。
スーパーに行けば、鮭のコーナーの片隅に塩鱒の切り身も置いてあります。
最大の難関は、塩鱒の切り身の皮と骨を取り除きそぎ切りにすること。僕の料理の腕前では厳しい。
しかしその後は、〆るもの酢飯を用意するのも巻くのもさほど難しくはありません。
レシピによれば、巻いた寿司はおひつなどの保温性のある容器に入れる、とあります。我が家にはそんな気が利いたものはありませんから、サーモスの保温鍋に入れ、保温しすぎないように中蓋を使わずに置くこと3時間。緑色の山葡萄の葉が茶色に変色したら完成です。

できた♪

味はまああれですね。富山名物「鱒のすし」。しかしそんなにギュッと握ってはいないので、押寿司とは違う軽い食感。山葡萄の香りもほのかに移っていて、爽やかな高原の情景を演出します。
葉っぱに酢飯がくっつきやすいのが難点と言えば難点ですが、ゆっくり剥がずことでそれも避けられます。
これなら話題も作れるし、遠来のお客様にもお出しできそう。

by silvers_blue | 2017-07-08 21:28 | 山の幸