野山を読む 野山を食す

アオハダ

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僕は山に行くとき、図鑑を持ちません
知らないキノコや樹木を見た時は、その場で良く見たり写真を撮り、また自分の持ってる知識の範囲で推測します。
そして帰ってから、複数の図鑑やネットの情報を舐めるように調べ、自分の推測が正しかったかを答え合わせします。


数週間ぶりに晴れた週末、お気に入りの水楢の森に出かけます。
標高1300mのこの場所では、紅葉の佳境は過ぎています。あれほど鮮やかだった漆類や山葡萄、楓類の紅は既になく、コシアブラやハリギリの優しい黄色も散った後。
落葉松の黄葉も鮮やかさを失いつつあり、水楢の褐葉が半分程度残っている、といった感じです。
その中で、未だ生き生きとした黄葉・・・やや緑がかった爽やかな黄色い葉を着けた樹木が点在しています。
中木、といった大きさのものが多いのですが、中には10m以上のものもある。
何度も通ったこの森で、だけどこの樹木に注目したことはありませんでした。
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葉の形や樹皮の様子から、何の木か想像してみます。
ムラサキシキブの黄葉に近いけど、もっと生き生きしていて、しかも葉の形ももう少し丸っこい。
そもそもムラサキシキブはこんなに大きな木ではないし、何よりあの特徴的な実がない。
冬も葉を残すヤマコウバシの葉に似ている。だけどヤマコウバシってこんなに爽やかな黄葉だっけ?
それともクロモジ? 近くの公園のクロモジはこんな色の黄葉だったような記憶が。
どちらにしても、識別の重要な手がかりとなる実がついていない。
葉脈や葉柄、樹皮の様子がわかる写真を撮って、自宅で調べます。
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調べた結果、僕の推測は正しくなかった。
これはアオハダの雄株、ということがわかりました。
図鑑によれば、雌株には鮮やかな赤い実がつくらしい。だけど赤い実を付けた木は、少なくとも僕が歩いた範囲では1本も見ませんでした。
そうなると、今度は雌株を探したくなるものです。花の写真も撮りたくなる。
今まで目にも留めなかった木が、次からは気になる存在になります。
一つ知識が増えると、その向こう側を更に知りたくなる。そうやって少しづつ見識が広がっていきます。


紅葉の盛りを過ぎた時期だからこそ、この木に気づくことができました。
どんな季節であっても、森が僕らに教えてくれることはたくさんある。


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# by silvers_blue | 2017-11-04 00:32 | 山の植物 | Comments(0)