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ズミの実の天然酵母

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PENTAX LX ・ SMC PENTAX-A 1:2.8 50mm MACRO ・ RDPⅢ

前回まで3回に渡り山葡萄から起こした天然酵母でのパン作りについて書きました。
酵母起こしやパン作りがこんなに面白いものだったとは。
とは言え、もともと僕は料理やお菓子作りが趣味という訳ではありません。よって、更に難易度の高いパン類に挑む、という方向にベクトルが向いたりはしません。だってそんなの大変そうなんだもん。
そんな僕が次に考えるのは、

 「もっと野山の他のもので天然酵母パン作ってみたい」

ということです。そこでこの時期調達可能な野生の材料として思い出したのは、ズミの実。
ズミとは、いわば野生のリンゴです。果樹としてのリンゴの品種改良の際の台木に使われたりするらしい。
しかし野生のリンゴとは言っても、その実は銀玉鉄砲くらい。直径7~8mmです。食べると一応リンゴっぽい味はしますが、粉っぽくて美味しくありません。
アウドドアの本とかを見ても、せいぜい果実酒にするぐらいしか利用方法が書かれていません。
一方で、家庭での天然酵母起こしの素材として、リンゴは比較的ポピュラーです。
ならば、このズミの実で天然酵母を起こしてパン作りに使えるのでは?
という訳で、菅平高原で採ってきました。できるだけ熟して色が濃くなったものを選んで摘み取ります。
実そのものはたくさんあるし、しかも樹高も高くない。しかし実が小さいのでたくさん採るのは結構大変です。
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これをつぶし適量の水と三温糖少々を煮沸消毒した瓶に投入。待つこと3日。
あ、ちょっと泡が出始めたかな、と思った翌日にはジャンジャン発酵するようになりました。
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発酵の勢いは同時に起こし始めた山葡萄よりも早く、しかも勢いもすごい。その分息切れるのも早くて、2日間ブクブクしまくったら、その後は落ち着いてきました。
落ち着いた頃の酵母液を使って元種つくって生地こねて焼いて。できたのがこれ↓ リュスティックという生地を切った後成型しないシンプルなスタイルのパン。
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さてその味は? 正直なところ、山葡萄で作ったものの方が美味しいように感じられます。
しかし僕はまだパン焼きを初めて間もない初心者。酵母の材料が何かよりも、パン作りの工程を通して改善すべき点があるのでしょう。
何はともあれ、一応成功です。
見慣れた野山の果実を、しかも自分で採ってきたもので酵母を起こし、野山の情景を想いつつパンを焼く。
自宅に居ながらにしてアウトドア気分を味わえる、楽しいひと時です。



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by silvers_blue | 2015-12-20 00:52 | 山の幸 | Comments(0)

山葡萄の天然酵母パンに挑む その3


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「酵母液の完成」
前回までで、酵母液ができました。
・・・どの程度で酵母液ができたと言えるのでしょうか?とある本によれば、やや発酵が収まってオリ(=沈殿物)がある程度たまったら、と書かれています。
また、盛んに発泡するようになったら果実を濾しとって完成とする、としているレシピ本もあります。
どちらの本も、元となった果実等は、しっかり絞りとって最大限利用する旨が書かれていました。
で、僕が試した実際では、発酵は思いのほか長く続きます。仕込んで一週間で果実を取り除いてから冷蔵庫に入れたのですが、低温下でも結構発泡を続けます。これにはびっくり。

「種づくり」
この酵母液を小麦粉等と混ぜ合わせて生地にする、という方法ももちろんあるようですが、どうも一旦「種(元種とか中種とも呼ぶ)」を作るのが一般的のようです。
その工程を経た生地の方が、安定した品質になるのだとか。
しかしこの「種」の作り方が、それこそ資料によってバラバラです。何を信じたらいいのやら。しかも何度も小麦粉を足して3日~4日かけて作る、なーんていうレシピもあります。
僕が今回試したのは、いくつか読んだレシピ本の中で最も簡単な方法の種作りです。即ち、
  ・強力粉125g
  ・酵母液 75g
  ・ハチミツ 1g
この3つを混ぜ合わせ、室温で10時間以上置いて完成、というものです。
10時間後には、もとの2倍以上のかさにふくらんでいました。
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「生地作り」
この種全量を、生地用に用意した下記の材料を混ぜ合わせ、よく練ります。 
  ・強力粉 75g
  ・全粒粉 50g
  ・塩 5g
  ・三温糖 6g
  ・一度煮沸したぬるま湯(35℃)
最初はベチョベチョで、イメージしてた生地と大分違う印象です。しかし不思議なことに、根気よく練っていると、次第に生地はまとまってきて、手から離れるようになってきました。練り続けること20分、最終的にはデカい大福みたいな雰囲気になります。

「一次発酵」
この生地を、オーブンレンジ(スチーム付)・35℃で120分かけて一次発酵。生地が乾燥しないようにするのが肝要らしいです。
オーブンの天板には熱湯が入ったカップ等を一緒に入れるなどするとよいらしい。
でもスチーム機能があれば、その必要はないのかな?

「ベンチタイム」
一次発酵を経た生地は大きく膨らみました。手で持ち上げるとガスが抜けちょっとしぼみます。
その生地を、最終的な仕上がりに合わせて分割成型し、常温でを休ませること20分ぐらい。
この時も、濡れ布巾等をかけて、生地が乾燥しないように気をつけなければなりません。

「二次発酵」
再びオーブンレンジ(スチーム付)・35℃で70分、二次発酵をします。
僕の例だと、一次発酵に比べて生地のふくらみが少ない。成型の際に生地を傷めすぎたのか、あるいは発酵時間が足りないのか。

「焼き上げ」
オーブンをスチーム付・予熱有・210℃・25分にセットし、庫内が温まるのを待ちます。
その間に化粧の小麦粉をふりかけ、生地にクープ(切れ目)を入れます。
クープナイフなどという専用の道具もあるようですが、僕は新品の刃をつけたありがちなカッターを使いました。
深さ・長さとも、思い切り入れた方が良い結果になるようです。

そして初めての成果が、これ↓
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クープがうまく開きませんでした。入れ方が甘かったのでしょう。あるいは、二次発酵の際に濡れ布巾等を掛けておかなかったので、生地の表面が乾燥してしまったのかもしれません。
しかし味はなかなか良い。ヨメにも「美味しい!」って言ってもらえました。食感も上々です。
初めてのパン作りとしては、及第点だったのではないでしょうか。
この例の反省点を改善し、大きめに成型して焼いた2回目の成果品が、トップ写真です。
以下、3回目成果品と4回目成果品。家族のリクエストにより、クランベリーやかぼちゃの種を入れてみました。
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さて、せっかく山の恵みで作ったパンです。山葡萄を採ったところで食べるという、ちょっと儀式めいたことをしに再び高原へ。
ここで採った山葡萄の酵母で作ったパンに、ここで採った山葡萄のジャムをつけて。
「気分」という要素も多分にありますが、美味しく食べました。
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by silvers_blue | 2015-12-12 22:29 | 山の幸 | Comments(0)

山葡萄の天然酵母パンに挑む その2

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さて、取ってきた山葡萄を房からはずし、使えなさそうな果実をより分けます。結果、450gの山葡萄の果実。
これを今回分として約三分の一を使います。
仕込む山葡萄の実は、あまり洗わない方が良いらしいです(付着している酵母が流れてしまう)
そうは言ってもあまりゴミだらけの果実は気分的にもよろしくないので、果実からはできるだけゴミを取り除きます。
・・・・それは結構な手間ですが。
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山葡萄は予めポリ袋でよくつぶし、三温糖や水と共に煮沸消毒した瓶に入れます。
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これを25℃条件下に置いておけば良いらしいのですが、我が家のこの時期の室温は概ね20℃。
特に急ぐ訳でもないので、この室温で放置します。
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今回の分量を整理してみましょう。

  山葡萄の実(生) 140g
  三温糖 15g
  水(沸騰させて冷ましたもの) 300cc

これを煮沸消毒した瓶に入れ、室温で放置。1日に2回ほど蓋を開け、ビンを回すなどして撹拌します。
3日目にして発泡し始め、5日目には蓋を開けると溢れてしまうほどになりました。
面白いのは、最初の数日は「失敗したか?」と思うほど何の変化もないのですが、ある時を境に「突然始まる」という感じで、しかも目に見えてガンガンと発泡します。ビジュアル的にもとても面白い。自然の生命力を感じます。
発泡、即ち発酵は、この後も続き、冷蔵庫に入れても発酵し続けました。

ところで、本やネットで調べた天然酵母起こしのレシピは、資料によって結構バラバラです。
何を信じたらいいのか難しいところですが、何となく共通している分量として、

 「元になる果実等:水」=「1:2」(重量比)

という比率が読み取れます。
今回この方法で非常によく発泡(=発酵)したので、僕は今後しばらくはこのレシピを基準にしていくことにします。
失敗だったのは、材料に対してビンが小さかったこと。発酵が始まると、蓋を開けると溢れてしまいます。
材料は、仕込の段階でビンの半分ぐらいになるように、分量あるいはビンの容量を考える方が良さそうです。

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by silvers_blue | 2015-12-06 16:38 | 山の幸 | Comments(0)

山葡萄の天然酵母パンに挑む その1

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PENTAX k-m ・ SIGMA HIGH-SPEED WIDE 28mm 1:1.8Ⅱ

ネット上の友人が、リンゴの皮から天然酵母を起こしてパンを焼く、ということをしていました。
「天然酵母パン」とは聞きなれた言葉ですが、何が「天然」で、「天然だと何がいいのか」ということについてはまったく知りませんでした。
本やネットで調べたことを乱暴にまとめると、

・パンとは、小麦粉を練って焼いたもの。酵母が発酵する際に出す炭酸ガスによってふっくらと膨らます作用を
 利用している。
・通常パン作りに使う酵母は、発酵力が強く、かつ安定して早く作用するイースト菌である。
 (そもそもイースト菌とは、パン作りに適した酵母を工業的に培養したものらしい)
・それに対して、自然界に存在する「天然酵母」を使って作ったパンを、「天然酵母パン」というらしい。
・天然酵母には、自然界のものを自家製で培養したものの他、市販されているものもある。
 自家製とは即ち、果物や野菜等に付着している酵母を家庭で培養してパン作りに使えるようにすることを指す
・天然酵母はイースト菌に比べ発酵力が弱く、しかも発酵が安定していない。パン作りに使うには温度管理や
 時間など、何かと手間がかかる。失敗も多いらしい。
・その代わり、イースト菌によるパンに比べ、複雑で味わい深いパンを作れる(かもしれない)

とまあ、そんなことらしい。

僕は日頃から、「食べる」ということをテーマに山歩きをしています。
山葡萄はその気になればたくさん採れるのですが、酸っぱい上に種が大きくで食べにくい。生食ではたくさん食べられないし、せいぜいジャムぐらいしか食べる手段がないのですが、これは使えるか? 即ち、

「野生の山葡萄から天然酵母を起こし、それを利用してパンを焼く」

うーん、なかなか魅力的なテーマじゃないですか。
しかし僕は、天然酵母パンどころか、イースト菌のパンすら作ったことはありません。
・・・まあ経験はさておき、何はともあれ山葡萄を調達せねばなりません。

菅平高原は紅葉の季節は最早過ぎ去り、雪が降るのを待つばかりという状態。
山葡萄の収穫はそんな時期がベスト。山葡萄自体はこの辺りでは珍しくはありませんが、高いところに実っているものを収穫するのは大変です。しかし晩秋ともなると、完熟した山葡萄は落葉のクッションの上に落ちてくる。僕らはそれを拾えばいいだけです。
それでも時期的には若干遅い。幸い酵母起こしが可能な量を収穫することができたので、早速酵母起こしに挑戦することに。
酵母起こしやパン作りの実際は、次回記事にて。乞うご期待。
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PENTAX LX ・ TAMRON SP 1:2.5 90mm MACRO(52B) ・ RDPⅢ

さて、山葡萄の木とはどんなものかを意識することはあまりありませんでした。蔓性だということ以外知っていることは少ない。
他の木に絡みついて生活しているとは言っても、ほとんど相手の樹木に同化してしまう蔦漆とは違った雰囲気です。
荒々しくささくれた樹皮が特徴的。
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PENTAX LX ・ SMC PENTAX-A 1:2.8 20mm ・ RDPⅢ




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by silvers_blue | 2015-12-02 21:51 | 山の幸 | Comments(2)