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ベニテングタケと地方の食文化

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ベニテングタケ - この辺りでは「ハエトリ」と呼びます。
炙って置いておくと、それを舐めたハエが死ぬことから、殺虫剤として使うことがその名の由来。いかにも毒キノコチックで鮮やかなその姿は、キノコに興味ない人でも一度はどこかで見たことがあるはず。
「山渓カラー名鑑 日本のキノコ(山と渓谷社刊)」によれば、
「食後15~30分を経て、短い時間うとうとしたあと、酒に酔ったようになる。筋肉の著しいけいれん、精神錯乱、幻覚、視聴覚障害などで、4時間以上興奮状態が続いたあと、深い眠りに落ちる。嘔吐する程度で死ぬことはめったにない。」
と書かれています。つまり、神経性の毒。麻薬的な効用を試そうとする不届者もいるといいます。

そういったけしからん連中はさておき、この毒キノコを食用とする地域が、世界で唯一、日本に存在するということは、キノコマニアの間では有名です。僕らの山遊びのホームグラウンドでもある、長野県上田市(旧真田町)菅平高原。
僕は今まで食べたことはなく、実際に食べたことがある人の話も直接聞いたことはありませんでした。しかしつい最近、今でも食べているという男性の話を聞く機会があったので、ここに記します。

Q、どうやって食べるんですか?

「塩漬けだよ。茹でて塩漬けにするんさ。で、年取りの晩(=大晦日)に食うんだよ。採ってくる時、笠と柄をすぐ分けちゃうんだ。じゃないともろくてウチに着く前にバラバラになっちまう。茹でちまえばしっかりするんだけどな。」

Q、美味しいんですか?

「そりゃーむちゃくちゃうめぇよ。他のキノコなんかと比べもんになんねーな。」

Q、中毒になったりしないんですか?

「昔からずっと食べ続けてるけど、具合悪くなったことなんかねーよ。毒が蓄積するからあんまり食わねえ方がいいって言うけど、今のところ大丈夫だな。ただ、茹でてたお袋が具合悪くなったことがあったっけ。茹でるとき換気良くしねーと危ねえかもしんねーな。強者になると、生のまんま薄くスライスしてそのまんま食うって言うわ。口ん中がピリピリするけど、そりゃーうめぇらしい。俺はさすがにそこまではしねーけどな。」

Q、調理方法とか、微妙な手順とか配合とかあるんですか?

「んなもんねーよ。茹でてただ塩漬けにするだけ。とにかくバサバサ塩たくさん入れりゃいいんだよ。んでもって食べるときの塩抜きの加減で味を調整するんさ。」


非常に貴重な話を聞けました。
こうした地域に根ざした貴重な食文化は残したいし、調理方法をマスターしたいし、食べてみたいもの。
しかし相手が毒キノコとなると、うーん・・・・
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by silvers_blue | 2010-10-28 23:31 | 山の植物 | Comments(16)

死の天使と、森の幽霊

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ヨーロッパでは 「死の天使 (=Destroying Angel)」と呼ばれる、ドクツルタケ。
最凶の毒キノコとして知られます。1本(≒8g)で致死量となる毒を持ち、死亡率が高いことでも有名。
誤食すると激しい嘔吐・腹痛を呼び、一旦回復したかに見えた後も、肝臓などを侵し、死に至るのだとか。
命を取り留めたとしても一生人工透析が必要になったとか、苦しみもがいてかきむしった畳は爪がはがれた血で汚れていたとか、壮絶な中毒例を聞きます。
他の毒キノコと一緒に食べた為、早い時期に嘔吐してかえって症状が軽くてすんだ、なんていうエピソードもあるそうです。
そんな恐ろしいキノコと知って見るせいか、その姿は冷ややかで不気味な美しさを持っています。
そしてこのキノコは、初秋から秋にかけて雑木林などで当たり前に見ることができます。



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同じ雑木林でギンリョウソウが咲いていました。葉緑素を持たない腐生植物。夏から秋にかけて地上に現れます。
白く透明なその姿から、「幽霊茸」 とも呼ばれています。確かに気味の悪い冷たさ。



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キノコ狩りで訪れた、雨の雑木林にて
PENTAX LX ・ SIGMA MINI-WIDEⅡ 1:2.8 28mm MACRO ・ SUPERIA VENUS400
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by silvers_blue | 2010-10-09 09:38 | 山の植物 | Comments(6)